概要
現在のNISQデバイスの計算能力を広げるために、量子ソフトウェアやアルゴリズムの開発者が急増している。その一方で、多くのアルゴリズムでは分解に莫大なコストのかかるToffoliゲート等の多制御ゲート(multi-controlled gates)が必要であり、利用できるアルゴリズムには多くの制約が存在するのが実情である。
研究
この問題に対し私たちはトランズモンの高準位、特に「qutrit」と呼ばれる下から3つ目までのエネルギー準位を用いることで多制御ゲートを実現する新たな手法を開発している。量子ゲートの忠実度やコヒーレンス時間の発展は近年目覚ましく、量子情報処理で積極的にqutritを利用する研究はとてもホットなトピックとなっている。また超伝導量子ビットに限らず、そのような高準位は他の量子系でも利用可能であることが多く、qutritによるアプローチ様々な系で応用することができる。
研究の展開として、より効率的な量子エラー訂正手法を実現する研究も進めており、同時に高準位ベースの量子計算に特化したマテリアルの調査やデバイスの微細加工技術の開発も行なっている。