Quantum Information Science at ICEPP

ICEPP

Research Topics

Pseudo Quantum Memory

Quantum Artificial Intelligence

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概要

量子レジスタの状態を長く保持できる、いわゆる「量子メモリ」が実現されていないことが、現在の量子コンピュータが抱える大きな問題の一つである。量子メモリがない状況では、量子計算は常にスクラッチから始めざるを得ず、その結果NISQマシンの限られたコヒーレンス時間を有効に使うことができない。例えば、入力データを量子コンピュータにロードする段階で多くの時間を使い、実際のアルゴリズムがコヒーレンスを保ちながらデータを処理できる時間が限られるという状況が頻発する。

量子メモリの実現には技術的課題だけでなく、根本的な挑戦が待ち構えている。ある量子デバイスを別の量子系に接続し、コヒーレントな状態を長く保つ技術はまだ知られていない。仮にそのようなデバイスが実現したとしても、いわゆる非クローン化定理 (no-cloning theorem)のために、量子コンピュータ上の量子状態を壊すことなく別の量子デバイスに複製することはできず、その逆も同様である。この基本的な困難さのために、量子メモリの有用性には制約がある。

研究

この問題を回避するために、我々は量子コンピュータの状態を近似的に複製・保存する手法の研究を進めている。我々のアプローチでは、量子回路の任意の時点での状態を、短いパラメータ回路で逆計算(uncomute)し、初期状態に戻すことを考えている。そのために変分量子アルゴリズムを使い、逆計算された状態と初期状態の間の距離を最小化するようにパラメータ値を決定する。最適なパラメータが決定できれば、逆計算回路を反転させることで元の回路の状態を近似的に再構成できるため、量子メモリの形で機能させることが可能になる。この手法を精査することで、さまざまな量子アルゴリズムで生成される状態に適用できないか、その有用性の検証を進めている。