Quantum Information Science at ICEPP

ICEPP

What is quantum AI?

ICEPPの量子AI研究は、どのような研究を行い、
何を目指しているのか?(仮)

量子コンピュータとは?

私たちが日常生活で目にする全てのものは、原子と電子からできています。その原子や電子から物質が作られ、その物質から私たちはパソコンなどの計算機を作り、いろんな計算を行っています。家計簿ソフトを使ってお金の管理をしたり、ワープロで文章を書いたり。パソコンの内部では、電気信号を使って0と1の二つの「ビット」の情報を表現し、それを元に計算をしています。

量子コンピュータは、一言で言えば「量子力学に従って計算を行う機械」です。パソコンの中にある半導体のチップでも、内部では量子力学に従って電子が動いています。量子コンピュータはそれとは違い、量子力学に従う「もの=量子」を直接操作して計算する機械です。

そこでは「量子ビット」を使って計算を行います。量子コンピュータが持つパワーの源は、一つのビットでありながら、0と1以外の”無限”の情報を持つことができる量子ビットにあります。パソコンでも量子ビットの情報を表現することは可能です。しかし、50量子ビット程度になると、スーパーコンピュータでも一度に扱うことができないほどの情報量になります。50量子ビットを持つ量子コンピュータは現在でも実現されており、そのような計算機を「どのように使うか」が今後大事になっていきます。

量子ビットとは?

量子ビットにもいろいろなタイプがあります。異なる偏光を持った光を使ったり、イオンを使ったり、個体の結晶を使ったり。それぞれ一長一短があって、どれが量子コンピュータの本命になるかはまだ分かりません。その中でも、最近特に研究が盛んな「超伝導量子ビット」について、簡単に説明しましょう。

超伝導量子ビットは、人工的に作った微小な電子回路で、人工原子とも呼ばれます。とても繊細で、周りの環境から影響を受け易く、すぐに状態が壊れてしまいます。そのため、宇宙空間よりも低い温度まで冷やし、周りの環境から隔絶します。その環境に置くと、電子回路のエネルギーがとびとびになり、量子的な振る舞いを示すようになります。しかし、これだけでは量子ビットにはなれません。なぜなら、とびとびのエネルギーの間隔に違いがないため、状態を区別して操作できないのです。そこで使われるのがジョセフソン接合と呼ばれる超伝導素子で、そのおかげで最もエネルギーの低い二つの状態を量子ビットとして使うことができます。

量子AIとは?

私たちは量子コンピュータの研究を通して、「量子人工知能(AI)」を実現し、それを物理研究に活用したいと考えています。深層学習などの機械学習技術は、いわゆるビッグデータを活用することでAIを実現しつつあります。そこに量子コンピュータを組み合わせた量子AIによって、AIの可能性はさらに飛躍的に広がると考えています。

そのためには、まず量子AIの元になる「量子機械学習」を量子コンピュータで実行する必要があります。私たちは、現在〜近い将来のノイズが多い量子コンピュータ(一般的にNISQと総称される)での実行が可能な「量子・古典ハイブリッド」の量子機械学習をソフトウェアとハードウェアの両面から研究しています。

何に取り組んでいるか?

量子・古典ハイブリッドの量子機械学習を実現するために、私たちは以下のような疑問に答える、新しい実装方法の研究を進めています。

  • 入力データのタイプや特徴に応じて、学習に適した量子状態に変換できるか?
  • どのような学習モデル(アンザッツ)がその量子状態に適しているか?
  • 勾配が消失する問題(いわゆる「不毛な台地」)の影響を小さくするには?
  • ノイズに強いデータ入力の方法や学習モデルは何か?
  • 量子アルゴリズムを少ない量子ビットやゲートを使って実装するには?
  • 量子AIの実行を加速するハードウェア(超伝導トランズモン)の実装方法は何か?